若鳩レースが終わって、フライターの1年が終わる。
しかしながら来春、また将来にむけての管理の手が抜けるわけではない。
デスクワークの季節の始まりだ。
ブリーダーの性能の検証、使翔法の点検、そして衛生管理の徹底・・・
シーズンオフのこの時期、ピジョンスポーツを広い視界で、改めてながめてみるのも一興!
Dr.遠藤のピジョンスポーツ観を展開!!

 秋季レースも終わりを告げ、また新たなシーズンを迎えるわけですが、
鳩レースにオフシーズンはなく、常にレースシーズンであります。
かつてプロ野球は十月の日本シリーズが終わると春のキャンプインまでをオフシーズンとして
休養にこれつとめた時代があったが、昨今では、筋肉の低下の防止と強化を目的とした
トレーニングを絶えず続けるようになりました。
 鳩レースも然り筋肉消費のスポーツであるので絶対量を減ずることのないように弛みなく、
トレーニングを続けなければなりません。
春のレース後、鳩なりの調教をしていた成鳩も、今月にはしっかりした舎外をつけて、
自由にしておいた悪癖を除外する必要があります。
ただし、成鳩の筋肉は十分に成熟し、運動に耐え得るものをすでに獲得してあるので、
若鳩同様の強引な舎外は、ともするとオーバーワークとなり易いので注意する必要があります。

  

 鳩とは直接関係ないかとも思いますが、私は現在バレーボールのコーチをしております。
強いチームを作るためには技術的な指導に増して、精神的に前向きに取り組む集団を
作り上げなければなりません。選手はコーチサイドが優勝を意識して鍛えこめば鍛え込む程、
不思議と小さくなって萎縮するものです。
このことは鳩舎においても同様で、期待をかければかけるほど成績が悪くなるものです。
するべき事はきっちりと実行し、あとは鳩に自由の居住空間を与えて、ストレスをかけずに
鳩が飛びたくなる状態に持っていけるレースマンのみが成功をおさめるものだと思います。
このような点でいずれスポーツは選手を動かすものであることから、
また人間も動物の一種であることから、共通項が見い出せるものでないかと考えたりもします。
鳩界にはスポーツ経験者、しかもプロまでつとめられた人も数多く居り、
その人々が鳩レースでも好成績を収めているのを見るにつけ、
昨今では鳩レースをスポーツを私は位置づける考えでいます。
 また、大してうまくはないのですが、当地産の紫雲石という硯石を使って製硯をしたりしています。
相手は石で、ノミで少しずつ削って形を整え、宇和島産のアコヤ貝を埋めて螺鈿細工を施し、
最後は漆をかけて仕上げています。この作業の間、硯作りも鳩作りと同じだなぁと思います。
いい石だなぁと思って彫っていくとキズがあったり、とにかく形を作るには芸術性が要求されます。
鳩も、いい種鳩だろうと思って一生懸命に作出して、レースに出してみて使いものにならなかったり、
とにかく鳩の作出も芸術の様にさえ思います。
そして硯と同じように原石から磨いて漆をかけて仕上げる工程が鳩の作出から、訓練、
そして仕上げのレースと、本当に良く似ていて、たった一度の気を抜くことさえできません。
 このように、鳩と真剣に取り組むことから、バレーボール、製硯といろいろな研鑚に脈絡し、
少しは楽しい人生を送れたような気もします。
この様なことから筆者は、鳩レース、鳩飼育ともに、何でも究める姿勢が重要なことを述べ、
稿を閉じます。
それぞれの人が、自分の身の回りに、参考となるべき事象が石ころの様にころがっていることに
気がついて欲しいと念じるものです。