中距離レースに臨むための調整法について説明する。
ただし、筆者の調整法の論拠は鳩体の生理学にその論拠があり、
従って調整法の基礎となる部分を中心に論を進める。
 鳩レースのベテランは、それぞれ得意の調整法を有し、その方法は千差万別であるが、
その具体的方法の中に、鳩体の生理に合致したものが多いものである。
先ずは調整についての基礎的は考え方を論ずる。
 鳩レースは究極的に疲労抜きを競うスポーツであると断言してもよいほどに、
疲労を抜く事が重要な問題である。
『疲労』とは肉体的な疲労(レースで飛翔したために起こる疲労)と,
ストレスによる精神的疲労(レースに関連する輸送、カゴ、見知らぬ土地、鳩舎から離れた不安感、
帰還コース上での様々な現象)によって、肉体的、精神的ストレスを強く受ける。
これらは鳩体上で起こる問題であるから相互不可欠な関係にあるわけで、
それぞれ別々に論じる事は不可能であるが、便宜上、肉体的疲労に分類して考えてみる。

 
 肉体疲労とその対策             疲労回復についての考え方
                 精神的疲労 
      休養についての考え方                飼料についての考え方
                                                          

過飲水という表現をしたが、分かりやすく表現すれば、飲水量が多いものを指す。
種鳩・選手鳩とともに過飲水は絶対に避けなければならない事実で、例えば親鳩が過飲水をして、
それをヒナ鳩に与えると、ヒナ鳩の飼料の摂取の絶対量が不足する。
従って、ヒナ鳩が生育するために必要な量が不足するわけであるから、
遺伝情報によって得た鳩体の大きさに育っても、その中身は極めて希薄なものになるであろう。
また過飲水になる原因は、オヤ鳩の場合は体内に炎症が生じたための発熱によるものと、
種鳩への給餌量が多すぎて、種鳩の食欲が減じた場合に起きる。
反対に、種鳩に与える餌が極端に少なすぎても、ヒナ鳩に与える量が不足するので、
水で補うという場合もあるので注意を要す。
過飲水か否かを判断するのには巣皿の周囲のヒナ鳩の糞を見る。
ビッチャッとした感じになっているもののほとんどは、何等かの原因による過飲水であるから、
それ等の原因を分析し対策を講じなければならない。
過飲水で育ったヒナは弱く、長じてもレース鳩、種鳩いずれにも不向きなものである。
また過飲水の防止にはセンブリ等の、苦味を有した漢方を飲水で投与すれば、
幾分かは防止する事が可能である。
なぜならば、苦味があるので飲水を好まない事と、これらを飲む事によって胃腸関係が改善され、
炎症が沈静化し、一石二鳥となるものと考えられる。ゲンノショウコ、ドクダミのも良いものである。
過飲水の原因には加えなかったが、作出時期のビタミン剤の飲水添加投与も、一因となろう。
ほとんどのビタミン剤は、ブドウ糖を含有し、センブリ等の苦味と比して、
非常に飲みやすい飲水となっている。
このビタミン剤は、疲労の回復にこそ効果があるものの、
大量に連続で投与すると余剰分は排泄されるというものの、連続投与によって、鳩体は、
飼料からビタミン剤を摂取する機能が低下し、ビタミン剤なしでは、
健康を維持できない鳩となる恐れが多分にあり、過飲水の一因となるので、
十分に注意して与えることである。
また後述の予定であるが、鳩がレース等で疲労して帰還した場合のビタミン投与は、
疲労による吸収力の低下のところにビタミン剤を投与しても吸収が悪く、あまり効果がない。
疲労を除去する原則は、保温安静(休養)、栄養補給の順で行われて効果のあるものである。