


| 疲労の回復に最も関係する重要な部分に、飼料についての考えがある。 全米スポーツ栄養学会会長で医学博士のロバート・ハース<注A>は、 その著書『食べて勝つ』に、きわめて興味深い記述を記している。 |
| <注A・・・テニス界のスーパー・スターのマルチナ・ナブラチロワ、ジョン・マッケンロウー、 ジミーコナーズなどの栄養面での指導をした人物> |
| ハース学説の要点は、スポーツで勝つためには、蛋白質や脂肪の摂取量を減らして、 複合炭水化物(いわゆるデンプン質)を多くとる事が肝心であるというところにある。 『蛋白質も脂肪も炭水化物も、とりすぎれば全て、脂肪に変わる。 また体を汚さない燃料は炭水化物だけである』と述べ、炭水化物は体内で燃焼して、 二酸化炭素になり、呼気のときに水と共に体外に放出される。 |
| 脂肪とタンパク質は燃焼するときに、毒性の副産物を作り出す。 したがってたんぱく質と脂肪タップリの飼料は体の動きが鈍化して、機能が低下する。 このように蛋白質が分解されると、アンモニアや尿素など、毒性の老廃物ができる。 必要以上に蛋白質を取ると、こうした物質の毒性をなくしたり排泄させるために、 肝臓、腎臓に大きな負担がかかる。またアンモニアや尿素が増加すると尿素が増え、 尿とともにカリウムカルシウム、マグネシウムなどの不可欠なミネラルまで放出してしまう。 |
| カリウムは筋肉や血液の流れ、神経をコントロールし、カルシウムは筋肉の骨を強くし、 筋肉の働きを調整し、マグネシウムは筋肉の収縮と炭水化物のエネルギーへの転換をうながす。 いずれも鳩にとって重要なものであって、蛋白質の過剰摂取によって失われる。 ただ、このように論ずると、すぐ極端に解釈する人がいるが、 何も鳩の体に蛋白や脂肪が全く必要がないというのではなく、ロバート・ハースもその著書の中に、 蛋白質や脂肪の必要性は述べている。筆者が言いたいのは、 従来の鳩レースのスポーツの概念で考えるところの、いわゆる『良いエサ』の概念が、必然的に、 蛋白質家志望の摂取量が多くなり過ぎると指摘したいのである。 すなわち披露しないためのエサ、スポーツ医学的に筋肉の運動量を持続できるエサ、 かつ、老廃物蓄積による疲労しにくいエサ、そしてさらに疲労を回復させるためのいわゆる疲労抜きのエサは、 従来の考えでは蛋白質、脂肪偏重のきらいが多い事を筆者は力説したいのである。 |
| 疲労抜きにも、レースにも、炭水化物を主体としたエサで、 従来より考える軽いエサが鳩の体に『良いエサ』だと確信する。 また、高蛋白、効脂肪のものを多くとると、スポーツの最中に脱水症状が起こりやすいとも指摘される。 それは、蛋白質を消化するのに、炭水化物を消化するより、ずっと多くの水を必要とするため、 筋肉をはじめ体中の水分が使われるからだと説明されている事をつけ加える。 炭水化物主体のエサを与えている時と、蛋白質主体のエサを与えている時とでは、 飲水量に差が出ることを筆者は経験していることからも、これらの学説は肯定的に理解しないと、 成功から遠のくばかりだと確信する。 |
| 疲労の抜き方をおぼえれば、あなたの愛鳩は全速力で鳩舎に帰る体力を与えられたことになる。 放鳩訓練その他は、体調のバイオリズムの調整と、 鳩にレース感覚を付与するために行うものであると考える。 成功した先達の訓練方法を参考にし、鳩体の機能のメカニズムを熱知すれば『百戦危うからず』である。 |